健康・ライフスタイル

健康的なライフスタイルを送るためのヒントを、
医師、栄養士など専門家がアドバイス。

睡眠不足が続くとどうなる?今一度考えたい、休息の重要性【医師監修】

仕事に家事に育児に、毎日目が回るーー
そんな忙しい人はついつい睡眠時間を削って無理をしがちですが、睡眠不足が続いていると、体にも心にも確実にダメージが蓄積されていきます。

睡眠不足は寿命を縮める要因にもなります。
「まだ大丈夫」と無理をしている方こそ、睡眠不足の危険性・そして睡眠の重要性を今一度理解しましょう。

今回は睡眠と休息について、スリープ・サポート クリニック院長の林田健一先生にお聞きしました。

目次✍

睡眠時間と死亡リスクには関係性がある!?
睡眠不足があなたのパフォーマンスを下げる
睡眠は心と体の休息。しっかり眠るメリットはこんなにたくさん!
良質な睡眠のキーワードは、『量・時間帯・質』
美肌は「寝てから3時間」で作る
良質な睡眠のコツ

睡眠時間と死亡リスクには関係性がある!?

◆ 1日7~8時間寝ている人は、死亡リスクが最も低い

知っている方も多いと思うのですが、一般的に理想的とされる睡眠時間は7~8時間です。

そこで2002年、カリフォルニア大学サンディエゴ校の研究チームが、110万人を対象に6年間にわたって行った追跡調査では、『睡眠時間が6.5時間~7.5時間の人たちの10年後の死亡率は、それより短い人や長い人に比べて低い』という結果が出ました。

これは裏を返せば、それよりも睡眠時間が短すぎたり長すぎたりすると、死亡リスクが上昇するという考え方ができます。

 

◆ “万病のもと”。実はとっても怖い睡眠不足

睡眠不足は、血圧が上がりやすくなったり、インスリンの働きを悪くしたりするため、高血圧・糖尿病などの生活習慣病を招く恐れがあります。
さらに睡眠不足が続くと、うつ病などの心の病気につながることも。
また、寝不足になると、満腹中枢が満たされにくくなるため、食べすぎや肥満の原因にも。

 

睡眠不足があなたのパフォーマンスを下げる

睡眠不足が続いて、脳や体をしっかり休められていないと、日常生活に支障が出ることも考えられます。

◆ 睡眠不足がもたらす生活面でのデメリット

  • 集中力や判断力が低下する
  • 作業効率が落ちる
  • ミスが増える
  • イライラしやすくなる

睡眠は心と体の休息。しっかり眠るメリットはこんなにたくさん!

睡眠は、日中の活動で疲れた心と体を休息する大切な時間です。また、休息以外にも体温調節や免疫機能の維持・成長ホルモンの分泌などさまざまな役目が。
このほかにも、記憶の整理・定着をするといった積極的な活動もしています。しっかり寝た後の方が、考えがまとまったり、覚えたことをうまくアウトプットできたりするのはこのためです。

◆ 睡眠の役割

  • 起きている間にフル回転していた脳を休める
  • 成長ホルモンを分泌して体を修復する
  • サビのもととなる酸化ストレスの除去
  • 認知症につながる有害物質の除去
  • 脳が日中に入った様々な情報を整理して、記憶を定着させる

睡眠はまさに、心と体の健康のベースになっているのです。

良質な睡眠のキーワードは、『量・時間帯・質』

健康や美容のベースをつくる“良い睡眠”に必要なのは、睡眠量と睡眠をとる時間帯と睡眠の質。3つの要素が揃ってはじめて、体や心にとって有意義な睡眠がとれます。

 

◆ 睡眠量:1日7~8時間が“理想”

毎日の睡眠時間が7~8時間よりも少ない方は、睡眠不足が積もり積もった、いわゆる睡眠負債の状態になっているかもしれません。睡眠負債が続いていると、「それが普通の状態」とご自身が認識してしまうこともあります。
きちんと睡眠不足を解消して初めて、「私って睡眠が足りてなかったんだ」「ちゃんと寝たらこんなに体がラクなんだ」と気づける方も少なくはありません。

「睡眠負債を貯めているかも」と思う方はどこかのタイミングで、少し無理をしてでも1日7~8時間の睡眠を2週間ほど続けてみてください
これまでの負債が解消されると、心も体も元気になるのが実感できるはずです。

 

◆ 睡眠の時間帯:休日も就寝時間・起床時間をできるだけズラさないことが重要

睡眠の量とともに大事なのが、規則正しく睡眠をとること。
いくらたくさん寝ても、寝る時間と起きる時間が毎日バラバラだと良質な睡眠は取れません。

例えば、平日は仕事や学校で同じ時間に寝て起きていても、休日は夜遅くまで起きていて昼過ぎに起きる……という人は多いのではないでしょうか。
睡眠時間だけで言えば十分平日の寝不足を補えているように見えますが、これでは、「ソーシャル・ジェットラグ」といって、体内時計が乱れた時差ぼけ状態になってしまいます。

表

休日にたくさん寝たはずなのに月曜日の朝から「だるい」「しんどい」と感じるのであれば、この時差ぼけのせいかもしれません。
特によくないのは、起きる時間帯が後ろ倒しになること。
休日にたくさん寝たいのであれば、遅く起きるのではなく早く寝るようにしましょう。

 

 ◆ 睡眠の質:不眠症・無呼吸症候群・むずむず脚症候群に注意

睡眠の量と時間帯はセルフチェックできますが、自分でわかりにくいのが睡眠の「質」。なかでも以下のような症状がある方は、睡眠の質が極端に悪化している可能性があります。

不眠症(寝つきに時間がかかる、何度も目が覚めてそれっきり寝られないなど)
睡眠時無呼吸症候群(睡眠中に呼吸が止まっていることがある)
むずむず脚症候群(足がむずむずして、寝たいのにじっとしていられない)

こうした症状がある方は、医師に相談しましょう。

特に足がむずむずしたり、うずいたりなど違和感を覚える「むずむず脚症候群」は睡眠関連運動障害と呼ばれる、女性に多くみられる睡眠障害です。
鉄分の不足や脳のドーパミンの働きが悪くなり、むずむずを感じやすくなるのです。貧血の人や妊娠中の方がなりやすい傾向にあります。

美肌は「寝てから3時間」で作る

睡眠不足が肌に悪いことは、ほとんどの女性が実感としてよく知っているかと思います。昔は「22~2時がお肌のためのゴールデンタイム」と言われましたが、これは正確ではありません。
正しくは、「寝てから3時間」。全体の睡眠の前半にあたる、「寝てから3時間」の間に成長ホルモンが分泌され、新陳代謝が活発になり、肌の細胞も修復されます。

良質な睡眠のコツ

1. 朝起きたら太陽の光を浴びる

朝起きたら、まずはカーテンを開けて日の光をしっかり浴びましょう。
そうすると体内時計がリセットされ、体は活動モードに入ります
これにより、睡眠のリズムが後ろ倒しになりにくくなります。

朝日

2. 昼寝上手になる

朝きちんと起きても、脳が疲れて昼間にうとうとすることはよくあります。無理に我慢するより、昼寝を上手に取り入れましょう。

◎ 上手な昼寝の仕方
時間は、15~20分まで
15時までに終了して起きること
横にならず座ったままの姿勢で

上記に気を付けると、深い眠りに入る前にすっきり目覚めることができ、夜の睡眠にも影響しません。

疲労

3. 体を動かす

体の疲れは夜の睡眠を誘います。
また人間は、体温が上がって下がってくるときに眠くなります。
そこで夕方に20~30分くらい運動をしてみましょう
体の中の体温が上がり、ちょうど夜に眠りやすくなります。

運動

4. 寝る直前は、カフェインやヘビーな食事・お酒を控える

よく知られていることですが、カフェインには脳を覚醒させる作用があります。カフェインの効果の持続時間は、4~5時間程度なので、夕方以降はカフェインの摂取は避けるようにしましょう。
また、こってりした食事やヘビーな食事も、胃がもたれたり、眠りの妨げになったりするので、寝る直前は避けましょう。

お酒は気分転換になっていればいいのですが、睡眠に悩んでいる人にはおすすめしません。飲むと寝つきはいいのですが、睡眠の質が非常に悪くなります。
また、アルコールもカフェインも、むずむず脚症候群の不快感を増す傾向があるので、不快感が気になる人は特に避けた方がいいでしょう

飲酒

5. 寝る前の行動パターンをルーティン化する

いつものニュース番組を見て、お風呂にゆっくり入って、いつもの音楽をかけながら、雑誌を見て布団に入る……というように、寝る前の行動をルーティン化してみてください
一連の動作が始まるとそろそろ寝る時間だと体が感じ、条件反射で眠気が起こるようになります。

読書

6. 寝る前は体と心をリラックスさせる

寝る1時間前は、脳と体を昼間の活動状態から休息状態になるためのクールダウンタイムにしましょう。音楽や読書・ストレッチ・アロマなど、なんでも良いので自分の好きなことをしてリラックス。
ただし、スマホやパソコンは避けて。
情報を追いかけることで、心も体も覚醒してしまいます。
また、ブルーライトの影響で寝つきが悪くなるとも言われています。

悩み

7. 眠くなってから布団に入る

だるさ

布団に入ったのになかなか寝つけないと、眠りへのプレッシャーが強くなって余計に眠れなくなってしまいます。
また、「布団では眠れない」と意識づけされてしまうこともあります。
ですので、眠くないのに布団に入るのはやめましょう。
眠くならなければ一度リビングなどでゆっくり過ごして、眠れそうになってからまた布団に入りましょう。

一度ご自身の睡眠不足解消としっかりと向き合って、健やかな心身を体感してみてください。軽やかで前向きに過ごせる毎日が訪れますように。

【監修】

林田 健一 先生

林田 健一 先生 医療法人社団SSC理事長、スリープ・サポート クリニック院長、医学博士

東京慈恵会医科大学を卒業後、同精神医学講座へ入局。慈恵医大本院・青戸病院で外来・病棟診療を行い、睡眠時無呼吸症候群、不眠症、時差ぼけなどに関する臨床研究も行う。睡眠障害の専門治療に幅広く取り組み、日々の診療だけでなく、メディアや講演を通して睡眠医療の啓発に携わる。
『朝、スッキリ目覚め「いい眠りだったな」とつい言ってしまう本』(主婦の友社)をはじめ著書も多数。