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若い人もヒートショックは他人事じゃない!寒い日のお風呂に要注意【医師監修】

冬場、暖房のきいた暖かい部屋からお風呂場に行って、寒さで身体が縮こまってしまった経験はありませんか?
「寒い!」と感じるだけならいいのですが、このときに急激な温度変化によって“血圧”が大きく変動すると、失神や突然死を招く恐れがあります。

これが、寒い時期になるとよく話題にのぼる、ヒートショック現象です。
高齢者に多いイメージがありますが、実は若い人も要注意。

今回は、ヒートショック現象の原因や「大切な人がヒートショックになってしまった、もしものとき」の対策について、さかい医院の堺先生にお話しを伺いました。

目次✍

ヒートショックの基本情報
どんな人がなりやすい?ヒートショックの危険度チェックシート
ヒートショックを防ぐための対策
もし身近な人にヒートショックが起こったら、その対処法

ヒートショックの基本情報

◆ ヒートショックとは

ヒートショックとは、「激しい温度変化が血圧の急変を引き起こしたこと」が原因で、意識を失ったり、心筋梗塞や脳卒中になったり、最悪の場合死に至る可能性もあります。「温かい→寒い→熱い」といった激しい温度変化が、血圧の急変を引き起こし、様々な不調を発症させます。
発生しやすいシチュエーションは、寒い冬場の入浴時です。

◆ ヒートショックの症状とメカニズム

ヒートショックが起きるメカニズムを、寒い日の入浴シーンを例にご説明します。

【シーン① 暖かい部屋から→寒い脱衣所】
温かい場所から寒い場所に移動すると、人間の体は熱を逃がさないようにするために、急いで血管を収縮させます。
そうすると血圧が急速に上がり、心臓や脳の血管に負担をかけてしまいます。
急激に上がった血圧は、心筋梗塞・脳卒中を引き起こし、胸が痛くなったり、息苦しくなったりすることがあります。

ヒートショックの図01

 

【シーン② 寒い脱衣所から→温かい湯船】
湯船につかり体が温まると熱を放出するために血管が広が、血圧下がります
そうすると脳や心臓に集まっていた血液が急激に減ることで意識を失って溺れてしまったり、心肺機能停止に陥ったりする可能性があるのです

ヒートショックの図2

 

◆ ヒートショックで亡くなる人はとても多い

毎年、ヒートショックと推定できる浴室関連で亡くなる事例が数多くあります。入浴中に起きた心肺停止状態の発生状況に関する全国調査 (2011年、東京都健康長寿医療センター研究所による調査) によると、入浴中のヒートショック関連死は約1万七千人同年の交通事故死亡者数約4,600人の約4倍にものぼります

参考URL:https://www.tmghig.jp/research/release/2013/1211.html

どんな人がなりやすい?ヒートショックの危険度チェックシート

ではどんな人がヒートショックを起こしやすいのでしょうか。
健康状態や習慣、環境などをチェックしてみましょう。

◆ ヒートショックの危険度チェックシート

・持病がある
・血圧が高い
・メタボリックシンドロームである
・お風呂場は築年数がたっている
・浴室の床がタイルで窓があるなどお風呂場が寒い
・長湯をする
・熱い風呂が好き
・飲酒後すぐに入浴することがある

上の項目に、ひとつでも当てはまる人は注意が必要です。

チェック項目はどれも、血管や心臓などに負担が大きいことばかり。
ヒートショック現象を起こすのは、高齢者が8割を占めていますが、い人に起こりうるものです。年齢を問わず、血圧が高い・肥満気味である・心疾患・慢性腎臓病などの持病がある、またコレステロールが高いは注意が必要です。

ヒートショックを防ぐための対策

◆ 部屋と脱衣所・浴室の寒暖差を少なくする

【① 部屋と脱衣所・浴室の寒暖差を少なくする】
まず、暖かい部屋から廊下に出るときは1枚上着を羽織ること。
さらに、靴下を厚手にしたり2枚履いたりして寒暖の差を防ぐとよいでしょう。
浴室や脱衣には暖房器具を置いて防寒対策を。

お風呂場は入浴時にシャワーで浴室やタイルを温めたり、シャワーでお湯を張ったり、浴槽のフタを開けて浴室内を暖かい蒸気で満たしておくと良いでしょう。洗い場がタイルなどで冷たく、足先から冷たさが伝わってしまう場合は、マットやスノコを敷くのも効果的です

シャワー

 

【② 飲酒後の入浴は避ける】
お酒を飲んだ後すぐ入浴すると、ヒートショックを起こしやすくなります。
お酒のせいで血行が良くなり血圧が低下したり、脈拍数が上がったりしている状態で入浴すると、さらに心臓に負担がかかるためです。

お酒禁止

酒後の入浴は30分以上時間を置き、お酒以外の水分を十分補給してからにしましょう。アルコールの利尿作用により、身体から水分が多く出て脱水状態になるのを防ぎます。
また、アルコールを分解するにも水分が必要なので、分解にも役立ちます。

【③ もしものために、見守り体制をつくっておく】
家族にひと声かけてから入浴する・入浴中は家族からときどき声を掛けてもらうようにするなど、見守り体制をつくっておくのもおすすめです。

【④ ヒートショックの重症化を防ぐためには、生活習慣改善も必要】
ヒートショックの原因となる動脈硬化疾患を防ぐため、肥満や高血圧を予防する食生活・運動を心がけましょう。
生活習慣の改善も、ヒートショックの発生と重症化の予防につながります。

もし身近な人にヒートショックが起こったら、その対処法

同居している家族がヒートショックを起したら、まずは声を掛けて意識があるか確認してください。

▶ 意識がある場合
手足が動くか、話を聞いて調子がいつもとどう違うか状態を聞きます。

▶ 意識がない場合
浴槽内で意識を失っていた場合は、まず湯船の栓を抜きます
意識を失った人を湯船から出すのは非常に重たく危険も伴いますが、お湯がなくなったら比較的出しやすくなります。
そのまま洗い場に移動させ、救急隊が来るまでゆっくり寝かせておいてください。浴槽内から出せない場合は浴槽で座った姿勢のままにします。
どちらの場合も体温が下がらないようにバスタオルで体を包みましょう。救急隊が来るまでそばについて様子を確認します。

まとめ

ヒートショックは、「リビングなど家の中でも暖かい場所と浴室やトイレ、廊下など寒いところとの寒暖差をなるべくなくすようにする」「何か1枚多く羽織る」など、ちょっとした心がけで防ぐことができます

また、食事や運動など生活習慣の見直しも予防に。
日々の生活の中で、バランスの良い食事を規則正しい時間に取っているか・適度な運動を心がけているかなど、今一度振り返ってみましょう。

ご自身のことだけでなく、同居しているご家族や実家のご両親などについても、日頃の生活習慣やお風呂に入る時の状況を確認してみてください。

監修

堺 浩之 先生

堺 浩之 先生 さかい医院院長

東海大学医学部医学科 卒業。
生活習慣病 (高血圧・脂質異常症・糖尿病) ・メタボリックシンドロームを中心に、地域の方の診療を行うことを目的として、平成17年9月にさかい医院を開業。ヒートショック現象の予防には知見があり、新聞・雑誌・TVなどメディアにも多数出演。企業での産業医活動、小学校校医・川崎市心臓病判定委員、川崎市内科医会副会長、神奈川県内科医学会の心臓血管病対策委員会・高血圧腎疾患対策委員会の委員なども行なう。