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慢性的な腰痛を治そう!ぎっくり腰に発展させない治療・ストレッチ方法【医師監修】

慢性的な腰痛持ちの人は、ギックリ腰になりやすい状態にあります。
慢性的な腰痛の改善法や、急に襲われるギックリ腰の対策方法について、整形外科の金永優(きん よんう)先生に教わりました。

目次✍

腰痛の種類とは?
慢性的な腰痛の原因とは?
慢性的な腰痛とギックリ腰の関係とは?
慢性的な腰痛を緩和するセルフケアとNG習慣
ぎっくり腰になりそうな時はどう対処する?
腰痛持ちのためのストレッチ方法
まとめ

腰痛の種類とは?

腰痛は、発症期間で以下の3つの種類に分類することができます。

①急性腰痛

発症期間が4週間未満であれば「急性腰痛」です(ギックリ腰は急性腰痛に分類されます)。

②亜急性腰痛

発症期間が4週間以上、3カ月未満であれば「亜急性腰痛」です。

③慢性腰痛

発症期間が3カ月以上のものを「慢性腰痛」と呼びます。

 

さらにこれらの腰痛は、原因のはっきりしている「特異的な腰痛」と、原因が明らかではない「非特異的な腰痛」に分類されます。
慢性的な腰痛は、非特異的な腰痛に分類されることが多いです。

慢性的な腰痛の原因とは?

・骨格のゆがみ

骨格にゆがみがあると、筋肉に過度のストレスがかかります。そうすると筋肉が緊張して、腰に痛みを生じることがあります。
また、ゆがみがあることで背骨の関節に負担がかかって、椎間板を悪くしたり(腰椎椎間板症の原因)筋肉に炎症が起こったり(筋筋膜性腰痛の原因)することも。

 ・血行不良

血中の老廃物が適切に排出されずに体内に蓄積されていくと、疲労や凝りなどが腰の筋肉に溜まって、腰痛を発症することがあります。

・筋力の低下

筋力や筋持久力の低下も、腰痛の発症や慢性化に悪影響を及ぼします。筋力低下に伴う運動能力の低下も腰痛のリスクになるため、日ごろからの適度な運動やストレッチなどを大切にしましょう。

・内臓の病気

まれに内臓の病気から起こる腰痛もあります(尿管結石・婦人科疾患などが原因)。

・ストレスなどによる心因性の腰痛

腰痛の多くは腰自体の異常だけではなく、日ごろのストレスなどが原因でも起こります。腰痛が慢性的な腰痛になる危険因子として、仕事への不満や経済的問題・交友関係・家庭環境など個人的な要因、また精神的な苦痛や抑うつ症状など社会心理的な要因もあります。

慢性的な腰痛とギックリ腰の関係とは?

慢性的な腰痛持ちの方は、そもそも腰椎の椎間板が傷んでいたり背骨自体が悪くなっていたりするため、急性の腰痛、いわゆるギックリ腰が起こりやすい状態にあると考えられています。

また慢性的な腰痛を抱えている方の中には、加齢に伴う「背骨の退行性変化(背骨自体や椎間板などの変性)」が起こっているケースもあります。
これは中高年に多くみられる変化なのですが、この変化が起こっている方は、何らかのきっかけひとつでギックリ腰が起こる可能性が高いといえます。

慢性的な腰痛持ちの方がギックリ腰にならないためには、まずは専門家に適切な診断をしてもらい、今の腰痛の治療を進めることが必要です。

病院では、薬物療法や腰のコルセットなどの外固定、各種痛み止めのブロック注射、また理学療法などが行われます。

心理的要因が深く関与している場合は抗うつ薬が効果的な場合もありますので、必要に応じて心療内科にも足を運んでみましょう。

慢性的な腰痛を緩和するセルフケアとNG習慣

痛みを抑えたり、ギックリ腰にならないためには、慢性的な腰痛をケアすることがとても重要です。日常で行うセルフケアの方法・避けた方が良い行為などをご紹介します。

 

<慢性的な腰痛をやわらげるセルフケア>

・血行を促す

日ごろから定期的に、腰椎部位を含めた全身の筋肉をストレッチングすることが大事です。
筋肉をよく使うことで血行が良くなりますので、仕事や家事の合間に少しずつでも良いのでストレッチしてみてください。

また温かいお風呂にゆっくり入って筋肉を温めることは、筋肉の緊張の低下・血流の改善・心理的ストレスの軽減などの作用もあるため、腰痛改善効果が期待できます。

・適度な運動をする

慢性的な腰痛の治療では、運動療法が非常に重要視されています。慢性の腰痛がある方は、定期的な運動で身体機能を回復させることが大切です。
無理のない範囲のソフトな運動から始め、症状を見ながら徐々に運動のレベルを上げていくことをおすすめします。
痛みがそれほどない場合は、腰痛を気にせずに好きなスポーツを楽しんでも良いでしょう。
「腰痛があるから運動ができない」ではなく、「腰痛はあるけどこんなにいろいろできる」と考え方を変えていくことも重要です。

 

・体温調節に気を付ける

過度なエアコンの使用などによって筋肉が冷えると、症状が強く出ることがあるので注意が必要です。適宜、上着やストールなどで冷え対策を行いましょう。

・減量する

腰痛の予防には、体重のコントロールも重要です。
肥満は腰や背骨だけでなく、足やほかの関節にも負担をかけて、痛みの発症や痛みの慢性化に影響を及ぼします。
体重を減らすことで腰痛がかなり楽になる可能性もありますので、体重のコントロールにチャレンジしてみることも検討してください。

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・カウンセリングを受ける

社会的・心理的要因が深く関与している場合は、通常の痛み止めや運動療法だけでは効果が不十分なこともあります。このような場合は、精神科や心療内科でカウンセリングを行ったり、抗うつ剤を使用したりすることで症状が楽になることもあります。必要であれば専門医にご相談ください。

 

<避けた方が良い行為・習慣>

マッサージされる女性

・腰痛のときに無理なマッサージをする

腰痛が強いとき、特にギックリ腰のときは安静が必要です。
過度なマッサージや骨格のゆがみの矯正などの手技は、症状を悪化させる恐れがありますので無理をしないようにしましょう。

・コルセットに頼りすぎる

コルセットに頼りすぎると、腰回りの筋肉が使われなくなってしまい、筋力が低下していきます。筋力の低下は腰痛を発症させ、悪化・慢性化させるリスクもあります。
腰痛が非常に強い時期以外はコルセットを積極的に外して、運動やストレッチなどで筋力アップを心がけてください。
 

・腰に負担のかかる姿勢をとる

生活動作は腰痛に大きな影響を及ぼします。重いものを持って歩いたり前かがみになったり、長時間座って作業をすることは、腰にかなりの負担がかかって腰痛が悪化する恐れがあります。
腰部に負担のかかる動作をなるべく避けることが、腰痛の予防、改善には重要です。

ぎっくり腰になりそうな時はどう対処する?

慢性的な腰痛を抱えている方の中には、「あ、ギックリ腰になりそう」という瞬間を経験したことがある方もいるかと思います。
そんなときにどうしたらいいか、また結果としてぎっくり腰になってしまったときにどのように過ごすべきかをご説明します。

・ギックリ腰になりそうなとき(なりかけているとき)

「やばい……」と感じたとしても「回復できるはず!」と考えて、まずは心を落ち着けましょう。
コルセットをすると腰の安静が保てるので、動きやすくなります。
お風呂につかって身体をよく温めると、筋肉の緊張がとれて痛みが楽になることもあります。

・実際にギックリ腰になってしまったとき

ギックリ腰になってしまったら、できるだけ早く病院に行って治療を開始しましょう。自宅では、基本的には安静第一になります。安静にしていれば徐々に症状が改善していきます。
また、痛みをやわらげるために、痛み止めや筋肉の緊張をとるような内服薬も効果的です。シップも有効な場合が多いため、おすすめです。

腰痛持ちのためのストレッチ方法

日ごろから適度な運動やストレッチをすることで、ギックリ腰の予防もできます。

運動療法は、ギックリ腰を予防するだけでなく生活の質を向上させます。痛みのある部位だけを動かすのではなく、全身を含めたストレッチングや筋力訓練を行いましょう。

・痛みがあるときのストレッチ

「痛みが少し楽になるなぁ」と感じる方向に筋肉を伸ばしましょう。
そのとき、背骨を伸ばすとなお良いです。症状に応じて、背骨を前に曲げたり後ろにそらしたり、回旋させても良いでしょう。
腰痛の症状が強い場合は、ストレッチをすることでより症状を悪化させる恐れがあるため、自分の体、そして主治医と相談をしてチャレンジしてください。

・再発を予防するストレッチ

再発予防のため、痛みがないときも背骨周りの筋肉や股関節周囲の筋肉をストレッチで伸ばしましょう。このとき、必ずしもジムなどに通って特別な運動をする必要はありません。
まずは毎日の生活の中で、軽いストレッチや運動を定期的に行うことから始めましょう。
ただし、あくまでも症状に応じて行うことが大切です。痛みの許す範囲で、徐々に回数や負荷を上げながら行ってください。

・そのほかの注意点

筋肉を温めた方が、痛みがやわらいで運動しやすくなります。
自宅でお風呂にゆっくりつかって身体を温めた後などがおすすめ。

また、病院での温熱療法の後も効果を得やすくなります。温熱療法には、身体の表面を温めるホットパックや、身体の深部を温める超音波療法などがあります。主に整形外科クリニックで行われていますので、受診したときに相談してみましょう。

まとめ

腰痛は自然に改善することも多いため、ゆっくりと経過を見ることが良いとされています。しかし、長期間にわたって再発を繰り返したり、慢性化したりすることも少なくありません。
ある程度の腰痛は本人の生活動作の改善やストレッチなどで予防・改善させることができますが、なかなか良くならない場合には、ぎっくり腰に発展する前に専門家にご相談ください。

◇監修の先生プロフィール

金 永優(きん よんう)先生

金 永優(きん よんう)先生

京都大学医学部附属病院整形外科、フランス・パリのピィティエ・サルペトリエール病院整形外科勤務

日本整形外科学会、日本人工関節学会、日本股関節学会、中部整形災害外科学会、医師+(いしぷらす)所属

韓国ソウル大学医学部卒業。
京都大学大学院医学研究科整形外科学講座にて医学博士取得。
京都大学医学部附属病院で研修後、倉敷中央病院、浜松労災病院、京都市立病院、滋賀県立成人病センターに勤務。

2017年4月よりフランス・パリのピィティエ・サルペトリエール病院に整形外科医として留学中。
それぞれの患者さんの症状だけではなく、社会的背景や生活スタイルなどを十分考慮し、患者さんの立場に立って最適な治療ができるように日々努力しています。
皆様の不安や悩みを少しでも解消できるように情報を発信していきます。