ヘルスケア

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基本が大切!お医者さんもやっている実用的なインフルエンザ対策方法

毎年、冬が近づくと気になる病気「インフルエンザ」。

「子どもがインフルエンザになった!」
「会社の◯◯さんがインフルエンザになった!」

そんな会話が飛び交う流行ピークの週には、毎年約130万人もの方がインフルエンザに罹患しているというデータも。
インフルエンザシーズンを乗り切るために、今回は医師や医療関係者も実際に行っている実用的な予防対策を、医療法人社団悠翔会 理事長・診療部長 佐々木純さん監修のもとご紹介します。

 

✍目次

📍インフルエンザの感染経路と予防対策
  -飛沫感染とは
  -接触感染とは
📍医療関係者もしている5つのインフルエンザ対策
  -1.ウイルスが生存しにくい環境をつくる
  -2.正しい手洗いでウイルスを洗い流す
  -3.こまめにうがいしてウイルスの侵入を防ぐ
  -4.マスクを適切につける
  -5.インフルエンザワクチンの予防接種をする
📍感染したと思ったら、すぐに医療機関の受診は必要?
📍まとめ

インフルエンザの感染経路と予防対策

インフルエンザにかからないためには「ウイルスとの接触を避けること」が一番の近道です。まずはインフルエンザウイルスの感染経路「飛沫感染」と「接触感染」の特徴を理解しましょう。

・飛沫感染とは

ウイルスに感染した人が咳やくしゃみをすると、ウイルスが“飛沫(しぶき)”にのって飛び出ます。このウイルスを含んだ飛沫を、健康な方が口や鼻から吸い込むことで感染する経路を「飛沫感染」といいます。

飛沫にのったウイルスは咳で2m、くしゃみで3m程度といわれています。そのため、遠くで咳やくしゃみをしている人からは感染しませんが、教室やオフィス・電車の中など、長時間密閉された空間だとウイルスがこもり、感染してしまう可能性があります。ウイルスをこもらせないためには、適宜換気を行うことが大切です。

また、インフルエンザウイルス自体は直径約0.1μm(マイクロメートル)ですが、飛沫になると約5μmと約50倍の大きさになります。一般的な不織布マスクの網目は約3μmなので、マスクを着用していればインフルエンザウイルスを含んだ飛沫をカットすることができます。さらに厚手のマスクだと、保湿効果が高まって鼻・喉の乾燥を防げるので、よりインフルエンザウイルスに感染しにくくなります。

・接触感染とは

健康な方が、インフルエンザウイルスのついたドアノブやスイッチなどに触れた手で鼻や口を触ってしまい、結果として感染してしまうことを接触感染と呼びます。

ウイルスの生存期間は、ドアノブやテーブルなどの平滑な場所では1~2日(24~48時間)程度、ザラザラ・デコボコした場所では8~12時間程度といわれています。意外と生存期間が長いので、こまめな手洗いやアルコールスプレーをして接触感染を防ぎましょう。

医療関係者もしている5つのインフルエンザ対策

インフルエンザに感染しないために、実は医師や医療関係者も“基本的な方法”でセルフケアしています。今回はその5つの基礎対策方法をご紹介します。

 

1.ウイルスが生存しにくい環境をつくる

インフルエンザの感染には、生活環境も大きく関わっています。低温で乾燥した場所ではウイルスの生存率が上がるといわれており、冬の気温7~8度・湿度20~25%の場合、ウイルスの生存率が高いという実証結果も出ています。

一方、インフルエンザウイルスは、湿度50%以上の場所では生存率がぐっと下がります。そのため、エアコンなどで暖房をつけるときはきちんと加湿して、湿度を50%程度に保つようコントロールすることが大切です。

ただし、あまり湿度を上げすぎると、結露やカビなどの原因にもなるので注意してください。

 

2.正しい手洗いでウイルスを洗い流す

手洗いは、手に付着したインフルエンザウイルスを物理的に引きはがして、感染経路を断つのに役立ちます。家の中にウイルスを持ち込んで家族が感染することもあるので「外出先から帰ったら手洗い」を徹底しましょう。

正しい手洗い方法としては、市販の石鹸やハンドソープをつけて2030秒間洗い、水でしっかり洗い流しましょう。サーッと洗うだけでは効果が低いため、両手のひら・手の甲・指の間・指先・爪・手首まできちんと洗ってください。ネイルをしている人は、ネイルの隙間などにウイルスが入り込むこともあるので、手洗いは念入りに。

手洗いができない場合は、アルコールスプレーを利用するのも有効です。建物の出入口などに置かれているアルコールスプレーは、しっかり1プッシュして両手のひら、手の甲、手首までをカバーするようにしましょう。

 

3.こまめにうがいしてウイルスの侵入を防ぐ

水をたっぷり口に含んで上を向き、喉の上の咽頭をキレイにするようにガラガラとうがいします。うがいの回数は2回で十分です。

 

4.マスクを適切につける

マスクは、網目が飛沫のサイズ以下(5μm以下)の一般的な不織布マスクで十分です。1枚をしっかり装着することが大事で、自分の顔に合わせて鼻の横や頬のあたりから空気が抜けにくいものを選びましょう。つけるときは、なるべく隙間ができないように顔にフィットさせます。上部に針金の入ったマスクなどで、鼻の形に折ってから装着すると隙間ができにくくなります。

 

5.インフルエンザワクチンの予防接種をする

*予防接種のメリット
ワクチンは発症を完全に抑えるものではありませんが、感染した場合に軽度で済むといったメリットがあります。例えば65歳以上高齢者のデータでは、発症率を約半分・重症化を約5分の1に抑え、死亡率を8割以上も下げたことが報告されています。予防接種に関しては諸説ありますが、学校や職場、老人ホームなどの人がたくさん集うところに通う人は、集団全体の健康を保つためにもワクチンを接種した方がよいでしょう。

ただし、ワクチンは卵の殻から作られるので、卵アレルギーやその他アレルギーのある人は予防接種を受ける前に、主治医に相談しましょう。

*回数
予防接種の回数は、大人は1年に1回で十分です。免疫力の低い13歳以下の子どもは、2回必要です。

*効果
その人の栄養状態や体質にもよりますが、ワクチン接種後だいたい2~4週間で免疫(抗体)が完成するといわれています。11月中旬に接種したとすると、12月上旬頃に抗体ができて2月末~3月頃まで効果が続きます。その後は効果が弱まりますが、1、2月の流行しやすい時期は乗り越えられますし、3月以降はインフルエンザの流行のピークが落ち着いていくので問題ないでしょう。インフルエンザの流行期を乗り切るためには、予防接種をできれば11月中、遅くとも12月末までに済ませることを推奨します。

インフルエンザに感染したと思ったら、すぐに医療機関の受診は必要?

インフルエンザウイルスへの感染が疑われたとき、タイミング次第では「絶対に医療機関を受診すべき!」とは言い切れません。その理由を「発症初期」と「発症して3日目頃」に分けてご説明します。

 

①【発症初期】

インフルエンザに感染すると、1~2日で症状が現れます。インフルエンザの症状は、高熱・筋肉痛・関節痛・倦怠感・食欲低下など様々で、高齢者などでは意識障害や肺炎を併発する方も(※ワクチンを打っている場合、熱が出ないこともあるようです)。その症状の幅の広さから、症状だけではインフルエンザと一般的な風邪との見極めが難しいという現状があります。そのため、検査でインフルエンザウイルスを調べることが必要になります。

しかし、症状が出始めた時期にインフルエンザ検査をしても、体内のインフルエンザウイルスが増殖していないため『陰性』と出ることがあります。つまり、発症初期に医療機関に行っても、インフルエンザだと正しく判定されない可能性もあるのです。

なお、発症初期に陰性だからといってもインフルエンザである可能性は否定できず、1~2日後に再検査すると陽性反応が出る場合もあります。

 

②【発症3日目頃】

検査で陽性反応が出ても、受診のタイミングによっては抗ウイルス薬を飲む意味がないこともあります。その理由は、タミフルなどの抗ウイルス薬は、インフルエンザウイルスの増殖を抑える薬だからです。

インフルエンザウイルスに感染すると、ウイルスが増殖し、免疫反応によって抗体ができます。発症3日目に高熱などの症状が出てから医療機関を受診しても、既にウイルスの増殖が頭打ちになっているため、抗インフルエンザ薬の効果が発揮されません。この場合、2~3日はつらいかもしれませんが、たいてい1週間程度で症状が治まるので、水分と栄養を摂って自宅で安静にしている方がよいこともあります。

 

とはいえ、子どもや高齢者で「食欲がない」「一人でごはんを食べられない」場合などは、医療機関を受診しましょう。早めに病院を受診して抗ウイルス薬を内服すれば、症状を抑えることができるかもしれません。

 

まとめ

インフルエンザの予防には、「ウイルスへの接触を避けること」と「体内に入っても負けない抵抗力をつくること」の2つが大切です。上記対策を行うと同時に、日頃から十分な栄養と休息をとって免疫力を高めておくと、インフルエンザにかかりにくくなります。また、ワクチンを打ってきちんとセルフケアしていれば、インフルエンザにかかったとしても病院に行かずに治ります。

医師や医療関係者は、インフルエンザのために「すごく特別な対策」はしていないそう。その理由は、オーソドックスな予防対策をしっかり行っていれば大丈夫だから。適切に対処していれば、インフルエンザウイルスを恐れる必要はなく、インフルエンザにかかるリスクも減らせます。

ご紹介した対策を参考に、インフルエンザに負けない冬を過ごしましょう。

監修の先生のプロフィール

佐々木淳

佐々木淳 総合内科・消化器内科 医療法人社団悠翔会 理事長・診療部長

1998年 筑波大学卒業。「三井記念病院/内科・消化器内科」、「東大附属病院/消化器内科」を経て、「総合内科・消化器内科 医療法人社団悠翔会 理事長・診療部長」に就任。

「24時間対応 在宅医療ネットワーク」を掲げ、患者に寄り添った医療を提供している。モットーは、「患者さまの思いを叶え、できるだけ幸せな余生を過ごしていただけるようにサポートすること」。多くの患者から慕われており、信頼も厚い。

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